1年前まで、僕の額には確かに1本だけ毛が残っていました。Mの角の内側で、なぜかそこだけ生き残っていた1本です。それがいつ消えたのか――僕は思い出せません。毎日鏡で見ていたのに、です。毎日見る者ほど、変化に気づけません。
読了目安:約7分/この記事は薬にも金にも一切触れません。今日、無料で、5分でできることだけを書きます。
この記事で分かること。
- なぜ鏡では進行に気づけないのですか。
- 進行に気づける写真の撮り方(固定する5条件)です。
- スマホ1台で撮影環境を作る手順(5分・0円)です。
- 並べたときに見る3点と、比較する間隔の決め方です。
- 撮った写真の保管ルール(名前・場所・見せない相手)です。
- 記録が実際に役に立つ場面と、僕が8年やらなかった後悔です。
なぜ鏡では気づけないのですか
毎日見ている顔は「昨日の自分」としか比較できません。年単位の変化は、記録に残した画像同士でしか比べられません。
鏡が映すのは常に「今」だけです。人間の記憶は毎日ゆっくり上書きされますので、昨日と今日の差しか判定材料に残りません。生え際の後退は月単位ではほぼ動きませんので、その差はいつまで経っても「変化なし」に見えます。気づいたときには、比較対象になる昔の自分がどこにもいません。これが8年間、僕の身に起きたことです(第6話)。
逆に言えば、条件をそろえた画像を2枚並べるだけで、記憶の弱点は丸ごと回避できます。僕の手元にたまたま残っていた11年前の写真と、今の写真を並べるとこうなります。



撮影ルール5つ
大事なのは場所・照明の固定と月1回の頻度です。前髪を上げて正直に撮ることが、後で役立つ記録の条件になります。
同じ場所・同じ照明で撮ります。
僕は洗面所の照明直下です。光が変わると見え方が全然変わりますので、場所の固定が一番大事です。
正面と斜め45度の2枚を撮ります。
M字ハゲの切れ込みは斜めからの方が正直に写ります。
前髪はガバッと上げます。
隠したまま撮っても意味がありません。記録は自分しか見ません。
月1回、日を決めて撮ります。
僕は月初です。頻度を上げすぎると変化が見えずに疲れます。
ファイル名に日付を入れます。
「hairline_2026-08.jpg」などの形式にしておくと、並べただけで時系列になります。

スマホ1台で撮影環境を作ります(5分・0円)
立ち位置に印を付け、インカメラをやめ、タイマーを使います。この3つで「毎回だいたい同じ写真」が撮れるようになります。
ルールを決めても、実際にやると毎回びみょうに違う写真が量産されます。僕も最初の数ヶ月がそうでした。原因は道具ではなく手順にあります。この4手順を1回だけ用意しておけば、あとは毎月なぞるだけになります。
立ち位置に印を付けます。
洗面所の床にマスキングテープを2本、つま先の位置に貼ります。照明との距離が毎回同じになるのが目的で、これだけで写真のばらつきの大半が消えました。
インカメラに頼りきりません。
機種や設定によっては左右反転で保存されることがあり、過去の写真と向きが揃わなくなります。どちらで撮るにせよ「毎回同じ方法」で統一するのが肝心です。
タイマー3秒+腕を伸ばしきります。
シャッターを押す瞬間に手首が動くと角度が変わります。タイマーにして腕を伸ばしきった位置で構えれば、距離も毎回ほぼ同じになります。
前月の写真を開いてから撮ります。
先月の1枚を画面に出し、同じ画角に見えるまで立ち位置を微調整してから撮ります。見本を見ながら撮るだけで、そろい方がまったく変わります。
メモ:加工アプリの美肌・明るさ補正は必ず切ってください。補正は細い毛から先に飛ばしてしまいますので、いちばん見たい部分が消えます。記録用の写真だけは、盛らずに撮ってください。
比べるときに見るポイント
見るのはMの角の深さ・センターの密度・産毛の有無の3点です。変化は月単位では分からないので「半年前と」比べるのがコツです。
僕が見ているのは3点です。①Mの角の深さと角度(小文字のmか、大文字のMか)②センターの毛の密度(取り残された毛がいないか)③産毛の有無。変化は数ヶ月単位で見ないと分からないので、先月とではなく「半年前と」比べるのがコツです。

なぜ半年なのか。髪には生え変わりの周期があり、抜けた毛が伸びて元の長さに戻るまでには長い時間がかかるためです。1ヶ月前との差は、進行ではなくその日の髪の乾き具合・分け目の位置・照明のわずかな違いで簡単にひっくり返ります。毎月撮る意味は「毎月判定するため」ではありません。半年後・1年後に比べるための素材を、切らさず貯め続けるためです。



撮った写真をどう保管しますか
名前を統一し、専用フォルダに隔離し、機種変更で消えない場所に置きます。この3つだけ決めておけば記録は途切れません。
記録が途切れる原因は、飽きよりも「どこに保存したか分からなくなる」方が多いです。日常の写真の海に沈むと、比較したい時に出てきません。僕は3つだけ決めています。
- ✓名前は年月まで入れて統一します(例: hairline_2026-08_front.jpg / hairline_2026-08_45.jpg)。並べ替えただけで時系列になります
- ✓専用のアルバム/フォルダに隔離します。スマホの非表示アルバム・鍵付きアルバム機能を使えば、人に画面を見せたときに突然出てくる事故も防げます
- ✓機種変更で消えない場所に二重で置きます。数年後に効いてくる記録なので、端末の中だけに置きません
注意:この写真はSNSに上げる必要が一切ありません。公開して誰かに評価してもらうための記録ではなく、自分と、必要になったときに医師に見せるための記録です。僕はブログに載せている側ですが、それは記事のためであって、定点観測そのものに公開は必要ありません。
続けるコツと、僕の後悔
落ち込むためでなく「判断の材料を集める」ための記録だと思えば続けられます。僕の後悔は、発覚した28歳のときから撮っていなかったことです。
正直に書けば、撮った写真を見返す瞬間は毎回応えます。ですが、落ち込むためではなく「判断の材料を集める」ための記録だと思えば続けられます(儀式を観測に変える話)。僕の悔いは、発覚した28歳のときから撮っていなかったことです――あの8年分の記録さえあれば、今頃侵攻速度も正確に分かっていたはずです。
続けるための工夫も、結局は仕組みの話でした。月初の同じ日にスマホのリマインダーを1本立てます。それだけです。気合いで続けようとした月は、たいてい飛んでいます。1回飛ばしても、翌月からまた撮ればいいです。途切れた月があることより、記録そのものをやめてしまう方が損失は大きいです。
記録はどこで役に立ちますか
カウンセリングの材料になり、不安のループを止められ、対策の効果判断の基準にもなります。地味ですが15分もかかりません。
- ✓クリニックのカウンセリングで自分の進行度を伝える材料になります(カウンセリング準備の記事)
- ✓「気のせいかも」という不安のループを止められます
- ✓対策を始めたときに、効いているかを自分で判断する基準になります
1つ目については、実際に無料カウンセリングを受けてきて分かったことがあります。向こうは頭皮を機械とスコープと一眼レフで撮影して、その日の状態を細かく見てくれます(第7話・カウンセリング実録)。ただし、そこで撮られるのは「今日の1枚」だけです。この数年でどう動いてきたかを持っているのは、自分の記録しかありません。僕はそれを持っていかなかった側なので、次に行くときは持っていきます。
記録は地味ですが、全15分もかかりません。今日撮る1枚が、半年後の自分への一番の贈り物になります。
よくある質問
Q1. 毎日撮った方が正確に分かるのでしょうか?
枚数は精度に直結しません。日々の写真の差は進行ではなく、髪の乾き具合や分け目の位置の差で埋もれてしまうからです。むしろ毎日見ることで「今日は薄い気がする」という判定を毎日やる羽目になり、精神的に続きません。月1回で十分だと僕は思っています。
Q2. 昔の写真がまったく残っていません。今から撮っても意味はありますか?
あります。むしろ今日が、これから先いちばん古い1枚になります。僕の後悔は8年前に撮らなかったことであって、今日撮ったことを後悔する日は来ません。過去の記録がなくても、旅行や結婚式など前髪が上がっている昔の写真が残っていれば、条件は不揃いでも参考にはなります。
Q3. 撮っても変化がありません。やめてもいいですか?
変化がないという結果も、立派なデータです。特に何らかの対策をしている最中なら、「進んでいない」ことの確認そのものに意味があります。AGAは進行性の脱毛症とされています(出典:日本皮膚科学会「男性型脱毛症・女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」)ので、止まって見えている期間があるなら、その事実は記録しておく価値があります。
Q4. この写真で自分がAGAかどうか判断できますか?
できません。写真で分かるのは「自分の生え際が動いたか」という変化の有無だけで、その原因が何かは医療機関でなければ判断できません。僕自身、カウンセリングで機械を使って調べてもらって初めて数値を示されました。当事者目線での見分け方の目安はセルフ判定の記事にまとめてありますが、あれも診断ではなく気づきの目安です。診断・治療の判断は必ず医療機関で行ってほしいです。
Q5. 家族や恋人に見つかるのが怖いです
それが理由でやめる人は多いと思います。スマホの非表示アルバムや鍵付きアルバムに入れれば、通常の写真一覧には出てきません。記録は誰かに見せるためのものではありません。見せる相手を自分で選べる形にしておけば、心理的なハードルはかなり下がります。
次の一歩
記録は「自分がどこにいるか」を知るための道具です。その先には、止める(対策する)のか、取り戻す(植毛)のかという分岐があります。どちらに向いているかは、進行度・予算・求める速さの3つで決まります――僕自身、まだ答えを出していません。
3問だけ・登録不要。答えを押しつけるものではありません。
Lv.36(年齢)
装備: 定点観測カメラ/洗面所の照明/床のマスキングテープ
習得スキル: 撮影ルール5つ/比較の3点/保管の型
現在のクエスト: 月1の定点観測を続ける
称号: 「自分の観測者」
※本記事は個人の体験・工夫です。診断・治療の判断は医療機関で
参考にした情報源
- 日本皮膚科学会「男性型脱毛症・女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」(AGAが進行性の脱毛症であること、および各治療法の推奨度について)
- 本記事のうち撮影方法・保管方法・比較の見方は、いずれも筆者個人の実践に基づく工夫であり、医学的な標準手順ではありません
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この記事の根拠(最終確認日:2026年9月10日)
この記事は筆者本人の体験の記録です。医学的な判断は、下記の一次情報と、医療機関での診察に基づいて行ってください。
※効果には個人差があります。本記事は診断・治療の代わりになるものではありません。





